![]() |
反応後冷水に反応液を注いで上層(酢酸エチル)
と下層(水・エタノールなど)に分かれている様子
奥の実験台の縁と界面がほぼ重なっていて
見にくいですが…
|
高校入試なんかでばたばたして,何となく今年度の
授業はもう終わりだよねな雰囲気が漂う今日この頃。
2年生の化学1は,受験でも使わないし,
来年化学2もとらないという人たちが多かったり,
学年末考査の日程に合わせて教科書の中身を
進めていたこともあり,しばらく実験できずにいたりした
ので,残り何回あるかは謎ですが,実験づくしモードに。
高校卒業したら,実験とは縁遠い世界にいく子たち
だろうし,せっかくの機会なのでいろいろな実験を
自分たちの手でやらせてみてあげたいと思うのです。
あと,目の前で起こっている出来事を的確に
言語表現するトレーニングも兼ねています。
進路活動の中では何かと文を書くという作業は
多くなってくるし,的確に物事を説明できる力というのは,
社会に出てからも役立つはずだと斉藤は信じています。
昨日は,テルミット反応を行いました。テスト返し後の短時間で原理の簡単な説明と
実験の方法の説明,そして実験ということもあり,試薬の秤量は事前に済ませておいての
実施でした。
上の2枚の写真は,予備実験できれいに反応が起こったときの様子です。
反応容器として使ったろ試のしめらせ具合とか,テルミットの混ざり具合なのか,
若干生徒たちのは反応時間が短かったようです。
短い時間での反応ながらも,各々撮影した動画を見返したり,記憶をたどったりしながら,
時間を追って反応の様子を書いてくれました。
そして今日は,件の通り,酢酸エチルの合成を行いました。
酢酸:エタノール:濃硫酸=4:8:1の混合液を60℃程度の温浴で反応させました。
2~3分ほどで酢酸臭から酢酸エチルの臭い(セメダイン臭)になってきました。
冷水を入れた試験管に反応液を入れると,上層に酢酸エチルが分離し,
セメダイン臭も,反応液の状態のときよりも強く臭うようになりました。
予備実験で上層と下層に分かれたのを撮影してみましたが,どうもうまくとれませんでした。
じっくり見ると上層と下層に分かれているのが分かります。
(どうしたら分かり易く写真に撮れるのでしょうか…Photoshopで加工すれば何とかなりそうですが…)
有機系の実験を中心に,無機系の実験も時間の許す限りやっていきたいと思っています。
おひさしぶりですー.北大のおかもとです.
返信削除二層になった様子を綺麗に撮影する方法について.
有機物と水の層が見分けられるのは,屈折率が異なるからです.
Wikipediaによると,酢エチはn=約1.37,水はn=約1.33です.
この屈折率差が大きいほど,光の曲がり方が変わってきます.
どちらも透明なのに,ガラス(n=約1.5)と空気(n=1.0)が見分けられるのも屈折率のおかげです.
空気と液体,空気とガラスの界面が簡単にわかるのは屈折率差が大きいからです.液体の入った試験管とガラスの界面は何も入っていない試験管と空気の界面に比べて見分けにくいですが,これは屈折率差が比較的小さい為です.
ここまでが前振りで,問題の水と酢酸エチルは屈折率差がかなり小さいので,注意深く観察しないとどうしても判別が難しいです.
なるべくわかりやすくする工夫として,背景を方眼紙など,規則的なパターンにしてみるのはどうでしょうか?
水層と有機層でわずかに格子の見え方が変わるはずなので,うまい角度で撮影すれば無地の場合より判別しやすいかもしれません.
おかもとさん,お久しぶりです。
削除情報ありがとうございます。
酢酸エチルと水の屈折率の差ってそんなに小さかったんですね...
規則的なパターンの背景の方が確かに分かり易いかもしれませんね,
早速試してみようと思います。