どこよりも早く解説!センター試験2015<物理>の問題例 http://t.co/Gy4DgOvjKe @kuwakoさんから
— kuwako (@kuwako) 2014, 1月 2
なんてのが流れてきたので,斉藤も生物分をやってみようかと思い立った次第です。
一応,もう少し前置きしておくと,2015年のセンター試験(今の高2生が受ける試験)から
学習指導要領の改訂に対応して,センター試験の理科数学の出題が変化することと
なっています。今回の指導要領の改訂では大幅に内容や履修の組み合わせに変化が
あったため,センター試験はどう出題されるのかと,業界的にはずっと話題になっていた
ところでした。
そんなこともあってか,
![]() |
http://www.dnc.ac.jp/modules/center_exam/content0594.html |
提示されました。
あくまで雰囲気を読み取ってもらうものだから,答えとか示さないということの
ですが,受験生にとっては重要な新センターの例題ということになりましょう。
まぁ,そんなわけで<生物>の解答・解説をしていってみようと思います。
(間違いがあったらゴメンナサイ…コメント等でお知らせください…)
問題の方は,
平成27年度からの大学入試センター試験における数学、理科の問題例(試作問題)の公表について(大学入試センター)からダウンロードできます。
第○問 生態と環境に関する次の…<略>…
【問1】 「生物:生態系の物質生産」に関する問い
学習が進んでいなくても,何となく図1を読み解くことでも答えに近づけるかもしれない問題。
一応,「生産者の純生産量」と「生産者の総生産量」,「消費者の生産量」についての理解ができていると,すんなりと取り組める問題。
教科書を眺めると,生産者では,消費者では,と分けて記載されている訳だけど,アイディアとしては,「見かけの同化量 (= 真の同化量 - 異化量)」とでもいえばいいのかなと。
(光合成のところのことを連想してくれればOK)
そんな視点で図1に示されている値を見ていくと,
A:最初の生物量
→ すでにあるものなのでムシ
b:生長量
→ 自分の体を何か(簡単な)物質から作った結果なので同化に関わる量
c:被食量
→ 捕食者に食べられてしまった量だけど,本来は自分の体なので同化に関わる量
d:枯死量
→ cと同じ。食べられるか死ぬかの違い。同化に関わる量
e:呼吸量
→ 「呼吸」といえば,異化ですね。
f:死滅量
→ dと同じ。同化に関わる量。
g:不消化排出量
→ 食べたけど体内に吸収されず排出された量(=代謝に関わっていない)
となります。
これと「見かけの同化量 (= 真の同化量 - 異化量)」を踏まえると,
生産者の純生産量 = b1+c1+d+e1 - e1 = b1+c1+d+e1
一次消費者の生産量 = b2+c2+f+e2 - e2 = b2+c2+f
よって,選択肢の中でこの組み合わせなのは, (4)…答え
【問2】 「生物:生態系の物質生産」に関する問い
手元にある数研の「生物」の教科書では,P317に思考学習として取り上げられている内容の問題。教科書の中ではエネルギー効率という言葉が使われて,語句を覚えるだけの学習をしているとちょっと戸惑う問題。
問題文中では,「一般的な温帯の湖沼の生態系における…」と言っているのですが,一般に,エネルギー効率(変換効率)は,栄養段階が上がるほどに大きくなります。
また,光合成のしくみのところでも学習しているかもしれませんが,地球上に降り注ぐ太陽光エネルギーのほんのわずかな量しか植物の光合成で吸収できていません。
数研の教科書によれば,生産者のエネルギー効率は0.1~5%,消費者は,10~20%のようです。
ということで,深く考えるまでもなく, (1)…答え を選択したい。
【問3】 「生物:個体群」に関する問い
個体群の成長に関わる問いとしてはスタンダードな問い。個体群を扱う話の前置きとして,よく大学の授業の時にも出てきたような気がする。個体群の成長を表すグラフとしては,シグモイド曲線とかS字カーブなんて言われる曲線が有名どころ。数研の「生物」の教科書にも,P282図2で示されています。このグラフと環境収容力について,理解をしていれば簡単な問いです。
シグモイド曲線とか呼ばれる個体群の成長の代表的なグラフはこんな感じ。
増え始めは,個体数がそれほどいないので,生殖に関わる個体数も少なく,増加率はほどほど。個体数がある程度増えてくると,かなりの数の個体が生殖に関わるので,個体数の増加率が上昇して個体数が急増しだす。
で,ここからが今回の問題を解く上での,そしてこのグラフのポイントとなるところ。
問題で,「個体群の成長が食物の量によって規定されるとした場合」とあるので,これについて注目してグラフを読み解いてみる。
ここで,「個体群」の定義を今一度確認しておく。
「ある一定地域で生活する同種の個体の集まりを個体群という」(数研 生物 P280より)
ということは,個体郡内の生物は同じものを食物として得ており,一定地域で生活しているのだから,得られる食物量はある程度決まっている ということになる。したがって,生活している生物の数が増えてくれば,一個体あたりが得られる食物量は平均すると減少してくることになる。
とひとまずここまでで,選択肢の(3),(4),(7),(8)は不適な選択肢となる。
さて,一個体が得られる食物量が減少すると何が起こるか。選択肢中で現れてきている,出生率と死亡率について検討する。子どもを作るためには甚大なエネルギーを必要とするが,得られる食物が少ない状態では,自身の体を維持するだけでも精一杯なわけで,子ども作りどころではない。また,全ての個体が平等に得られる食物量が減るわけではなく,食物を得やすい個体はより平均より多くの食物を得られ,そうでない個体の中にはほとんど食物を得られない個体も現れる。食物をほとんど得られない個体は,生存することが困難となる。これらのことから,出生率の減少と死亡率の増加が予測される。
したがって,適切な説明をしている選択肢は, (1),(6)…答え となる。
【問4】 「生物:個体群」に関する問い
問3に関連した知識問題。用語として知っておこうというところ。
(4)…答え
第○問 進化と植物の環境応答に関する次の…<略>…
【問1】 「生物:生物の変遷」に関する問い
生物の変遷についての大まかな流れを押さえているかどうかが問われる問い。生物史の流れが年表としてまとめられていれば簡単。
流れをまとめるときのポイントとしては,
・繁栄していた生物の変遷(生息場所,大分類での位置づけ)
・大量絶滅(代表的な生物も含め)
・両生類,爬虫類,鳥類,哺乳類の出現
を押さえておければ最低限はよいかと。
(4)…答え
【問2】 「生物:進化のしくみ」に関する問い
生物進化のしくみについての基本的な問い。文章と語句との組み合わせとしてはとても易しい選択肢。
「中立的な変異には」とあるので,「突然変異」という語句はあり得ない。変異に対してはたらく力なので,「自然選択」,「遺伝的浮動」のいずれかである。
「自然選択」は,生殖や生存に有利な形質が次世代により残されていくこと
「遺伝的浮動」は,偶然によって遺伝子プール内の遺伝子頻度が変化すること
なので, (6)…答え となる。
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→ 化学もつくりました。「センター2015化学<問題例>の解説でもしてみる」
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冒頭でも紹介しましたが,斉藤がこれを作るきっかけになった
kuwakoさんによる物理の解説はこちら。
「どこよりも早く解説!センター試験2015<物理>の問題例」
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